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入試対策…数学編

数学の傾向概要

大問の構成は平成に入ってから ほぼ変わっていませんが、平成24年度からの大問2〜大問4の出題内容が、年度によって若干変わっています。 特に大問2と大問3はここ数年間で内容が変わることも多く、今後も数年間は定まらない可能性があります。
とはいえ、全体的な難易度は ほぼ変わっておらず、教科書の基本問題レベルを いかに多く演習するかがカギになります。

大問1…小問集合

平成29年度(2017年度)まで22点、平成30年度(2018年度)は21点、平成31年度(2019年度)は18点と、配点が少しずつ減ってきました。 これまで1問3点だったような問題も2点満点になっています。
この大問では、中学校3年間で学ぶ計算問題がほぼ満遍なく出題されます。最初の6問程度は計算問題が中心で、残りの3問程度が短い文章題になります。

平成31年度の特徴として、これまで20年度以上出題されていた確率が ひとつの大問になったことと、13年ぶりに作図問題が出題されたことです。
また、関数(比例/反比例/1次関数/2乗に比例する関数)や統計(資料の活用/確率/標本調査)は、継続していずれかが出題されています。

小問集合は数学を苦手とする人も努力次第で大幅に得点できるようになりますし、 逆にいえばここでミスをすることは ライバルに差をつけられることにもなります。
苦手な人でも7割以上は得点できることを目指しましょう。

大問2…方程式/文字式/確率

過去20年以上、方程式の問題が定番になっていましたが、平成30年度より出題内容が大幅に変わっています。 方程式は大問4の関数の一部として出題されるようになり、平成30年度は文字式の問題、平成31年度は確率の問題が出題されました。

過去の傾向からも、主に統計分野(資料の活用/確率/標本調査)の出題を重視する傾向にあるため、令和2年度も これらの題材が問いになる可能性が高いと思われます。
そのうえ、これらの分野を苦手とする受検生は毎年多く、高校数学でも学習単元が増えてきているため、今のうちに得意にしておけば 高校入試だけでなく入学後も役立てることができます。

特に記述問題は、方程式の文章題も文字式の証明も、大問5に出てくる図形の証明問題も、多くの受験生に避けられがちです。 しかしながら、「たったこれだけでいいの?」と思うくらい部分点がもらえるので、苦手な人は苦手なりに思ったことを書いてみると良いと思います。

大問3…文字式/資料の活用

大問3は、文字式を使った証明や資料の活用に関する出題が多くなっています。特に近年は、2人の生徒が会話をして、 その会話文をもとに出題する形式が増えており、文章の速読・読解力が試されます。

平成27年度(2015年度)より出題形式が 毎年のように変化しているので、入試当日に問題を見て圧倒される受検生も少なくないと思います。 しかし、問いの内容によっては それほど難しくないのに多数が答えられていないものもあります。
たとえば平成31年度の(2)は配点が3点で 得点率が29.4%です。記述問題なので部分点があったと考えても、正確に答えられた受検生は これほどに少ないです。当日に慌てなくてもいいように、普段から少しずつでも(簡単な問題で良いので)演習しておきましょう。

大問4…関数

数年前のように「説明文を読まずに(1)・(2)が答えられる」ような問題はすっかり なくなりましたが、全体として取り組みやすい設問になっています。 いわゆる「捨て問」として飛ばされることの多かった(3)も、すべてを答えるのは難しくても 部分点が狙いやすい問題になりました。

とはいえ、「方程式の問題」として解くには 1次関数の知識が必要なので、式を立てること自体が これまで以上に一苦労です。 しかしながら、過去問をきちんと解いて見直して復習までしていた人なら、「これまではただ最後の答えを書くだけだったものが、 その導出過程も記述するようになっただけ」という捉え方をすることもできます(すべての年度には当てはまりませんが…)。
上位校を目指すのであれば、答えに間違いがあったとしても最後まで答えを導くべきだと思います。 中堅以下を目指す場合は、できるだけ白紙解答を避けて答えられる範囲で何らかを書いておくようにしてください。

大問5…平面図形

他の大問と同様に、出題構成が変わってきています。
(1)は新傾向で、図形の中にある合同な三角形について問う問題です。年度によって問いの内容は変わっていますが、 教科書レベルの演習を疎かにしていなければ 確実に得点で着る問題です。
(2)の相似の証明は、例年と同じくらいの難易度です。大問2でも述べたとおり、図形の証明は部分点が取りやすいので、途中まででも 分かる範囲で答えを書いておくと良いと思います。
(3)も例年と同じくらいの難易度(それなりに難しい)です。 三平方の定理や線分の比など、入試を受けるまでに習った解き方(といっても入試の数か月前に習うが…)を駆使して考える必要があります。

証明は過去20年以上、平成9年度(1997年度)と18年度(2006年度)を除いて 相似の問題が出題されており、使う条件はすべて「2組の角がそれぞれ等しい」でした。 大問1で円周角が出題されなくなった平成23年度(2011年度)以降は、円を使った図形の問題が出題され続けています。
今後もしばらくはこの傾向が続くと思われますが、これまで福岡県の公立高校入試では出題されたことがない 「円周角の定理の逆」の問題が出題されることも考えられます。
全体として、図形を多角的に観る力や それを言葉で表現(説明)する力が、より問われるようになっています。

大問6…空間図形

近年 定番になっていた「ねじれの位置」に関する問題は、平成31年度(2019年度)は出題されませんでした。 最近10年では平成24年度(2012年度)〜26年度(2014年度)も出題されませんでしたが、今回はそのときと 事情が異なるように感じられます。
また、年度により異なるものの、相似な図形の面積比・体積比や中点連結定理を用いる問題が増えてきています。

そして特に近年の出題で感じるのは、大問6の最後の問題が(以前と比べて)易しくなってきているということです。 最近5年間の得点率は2%に満たないですが、これは「難しくて解けなかった」ほかに「そもそも手を付けていない(問題すら読んでいない)」受検生が 一定数いることも要因のひとつです。

たまたまかもしれませんが、平成31年度の(3)は4点の問題で正答率は1.6%でしたが、図形の長さを整理して空間図形の三平方の定理を計算すると 3分程度で見直しも含めて答えられるような問題でした。個人的には「拍子抜けするような ボーナス問題」と思います。
もちろん「誰もが容易に解ける」問題ではないとはいえ、つい数か月前の(中3の12月〜1月ごろに習う)内容をしっかり理解して 演習すれば、 数学がよほど苦手でなければ 手を付けられる(=手も足も出ないとは言えない)問題かなと思います。
以前は 一定以下のレベルの高校を目指す生徒に「飛ばして(解かなくて)良い」と指導していましたが、これからは「解けそうだと思ったら チャレンジしてほしい」と伝えたいほどです。