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第3回(2022年5月8日)

受験対策教材について

福岡市立の中学校では、毎年4〜5月ごろに受験対策教材の出張販売が行われます。主なものとしては、公立高校入試過去問と5教科の総まとめ教材です(以下で紹介する3種類)。
これらの教材について、個人的な見解を記していきます。

はじめに…

以下の記載内容は、あくまでも一個人としての見解です。参考程度にご利用いただき、購入等の最終的な判断は個々人で行ってください。
また、記載内容によって損害や損失に対して、一切の責任を負いませんのでご了承ください。

福岡県の高校入試徹底研究(にゅうけん)

メリットデメリット
  • 長年蓄積されたノウハウで 信頼性の高いデータ
  • 学校特別価格でお得
  • 実力テスト問題がついてくる
  • ほかの過去問集より充実した資料
  • 過去問などの解説が薄い
    (手短な記載や省略あり)

中学生向け教材販売や実力テストを実施している「フクト」が発行する過去問・資料集です。
福岡市立の中学校では、夏休み・冬休みなどの長期休業期間の宿題「夏の生活」「冬の生活」でも、フクトの教材が採用されています。 特に福岡県の公立高校入試には長年蓄積されたノウハウとデータをもとに分析されているため、 実力テストの志望校判定などの信頼性はかなり高いと言えます。

この教材は「にゅうけん」とも呼ばれて、書店などの一般販売では3,000円弱するものが、学校特別価格として2,000円程度で購入できます。 この特別価格は 学校で購入した場合のみ適用されるので、迷う場合は 購入しておいて損はないと思います。

内容について、公立高校入試の過去問は最近4年分5年分ではない)が掲載されており、 そのほか「全国の私立高校入試による実力問題」「過去のフクト実力テスト問題(2回分)」がついてきます。
そして、にゅうけんの一番の特徴は入試や進路選択についての資料が充実していることです。 入試の仕組みや専門学科・高校の制服の紹介など、ほかの過去問集に記載がない もしくは記載が少ないものも 数十ページにわたって書かれているので、そのあたりを知りたい場合は特におすすめです。

その一方で、過去問などの解説はかなり薄いです。 1教科当たりA4用紙1ページもしくは見開き(2ページ)に収めるため、小問題によっては解説が省略されていることもあります。
よって、メインを「過去問集」として使う目的で購入を検討することは おすすめできません。

高校入試虎の巻

メリットデメリット
  • 年度ごとでなく、単元ごとに縦断した構成
  • 学校特別価格でお得
  • 過去10年分の豊富な掲載量
  • 最新年度以外は
    年度内の通し演習が難しい

こちらは実物をしっかり見たことがないため、わかる範囲での記載となります。
福岡市を中心に 県内4か所で無料の学習室「学術の森」を運営している「ガクジュツ」が発行する過去問集です。 こちらも家庭教師派遣で35年以上の実績があるなど、福岡県の受験業界では根付いているようです。

「にゅうけん」と同じく学校特別価格で販売されるそうですが、具体的な金額については不明です(おそらく2,000円程度?)。 この特別価格も 学校で購入した場合のみ適用されるのでご注意ください。

内容はすべて公立高校入試の過去問で、最近10年分が掲載されています。最新年度のみ 年度単位での掲載(大問1から最後までが並ぶ形式)となっており、 それ以前の年度は出題単元/分野ごとに縦断して掲載されています。
たとえば数学は、小問集合が年度跨ぎで ずらっと並び、関数が年度跨ぎで ずらっと並び…といった形です。

こちらの問題集の解説は 見たことがないですが、HP上の「購入者の声」としては「1つひとつ丁寧に記載されている」そうです。
また、この問題集の最大の特徴である「単元/分野ごとの掲載」により、苦手な分野を集中して取り組むことができるようになっていますが、 裏を返すと年度単位の実戦形式での演習は難しいです。 この特徴を踏まえて問題がなければ、購入を検討しても良いかもしれません。

整理と対策

メリットデメリット
  • 単元ごとにまとまったレイアウト
  • 学校ワークも数多く手掛ける大手出版社の作成
  • 整理編→対策編で無理なくステップアップ
  • 計画的に学習しないと
    宝の持ち腐れになる

こちらはホームページにも記載されていますが、学校専売品で一般販売されていないため、学校からの案内期間を逃すと 購入することができません(書店販売していません)。
また、こちらは過去問集ではなく 汎用的に作成されたもののため、福岡県の入試に特化したものではありません

3学年分が1教科1冊で完結するため、受験に向けた総復習を行うことができる一方で、量が多いため 計画的に学習することが求められます。 もちろん、ほとんど理解できている単元を イチから隈なく演習する必要はない(むしろ時間がもったいない)ので、必要(苦手)な単元だけを進めて良いと思います。
とはいえ、たとえば「普段から学校ワークが終わり切れず 遅れて提出している、もしくはまったく提出していない」ような状況であれば、 内申点(通知表の評定)アップのためにも学校ワークの提出を優先すべきため、こちらの購入はおすすめしません。

さいごに…

中学校で案内される市販教材は 上記の3点だけですが(学校独自に これ以外も紹介している場合があります)、過去問集も総復習問題集も これら以外にたくさんの出版社から販売されています。
また、この出張販売で紹介された教材は あくまで紹介しているにすぎず、学校や教育機関(市教委など)が公式におすすめしているわけではありません
自身に合うかどうかも含めて しっかり見て考えてから、購入するかどうかを決めてください。

個人的な「学習教材の購入についての考え」は、雑感・雑情報にも記載しています。 自分の考えは このときから変わっておらず、(最終的には)使う本人の意思で決めてもらいたいなと思っています。
ただし、上でも述べていますが そもそも学校の提出課題を 期限までに出せていない状況であれば、少なくとも問題集のほうは 購入すべきでない(というか買っても ほぼ使われず、費用対効果が薄くなる)かなと思います。