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第9回(2018年5月6日)

とある父娘の会話から…

今朝たまたま本屋の学参コーナーにいたときに、近くにいた父娘の話です(当然どこの誰だか知りません)。 ときどき聞こえる会話から、その子は中高一貫校に通う中学3年生だそうで、数学の問題集を探していました。

本人曰く「確率と文章題(とりわけ"速さ"の方程式の問題)が苦手」ということで、お父さんがいくつか見比べながら 「これ(問題集)は易しすぎるな」とか「これなんかいいんじゃない?」といいつつお子さんに見てもらっていました。 なんでも学校に行く前に(6時に起きて7時に出発…!)解くためのものを探しているらしく、あまり時間がかからないものが欲しかったようです。

父「これなんか5分で解けるって。」
娘「へー。」(問題集を手に取る)
父「3分っていうのもあるよ。」
娘「3分のほうがいい!笑」
なんていう会話をしながら、しばらく吟味して何冊か(他科目も含めて)選んでいきました。

…さて、この親子を見ていて(というか実際は会話を聞いていただけで 姿はよく見ていなかったですが)、いくつか感じたことがありました。

ひとつはそのお子さんが「自分の苦手分野」をしっかりと意識できていたということです。
漠然と「数学が嫌い」「社会が嫌い」と苦手意識を持つ子は多いですが、そういう子の全員が「本当にすべて(の単元)を嫌い」ということは少ないと思います。 たとえば自分は暗記が苦手で特に歴史は大嫌いですが、それでも縄文・弥生時代や鎌倉時代、明治以降の近現代は何となく受け入れられました。
そのように、"苦手科目"は同じでも、"苦手な単元"は人それぞれで違うはずです。 「社会が苦手だから社会の問題集…」なんて探していたら、分厚い本か(厚みが)薄くても内容も薄い本ばかりで、どれもその子にあうとは言い難いです。
※もちろん、「全体の復習したい」というように、目的があって選ぶのであれば それらの本が最適になることもあります。

過去の定期考査やフクトなどの実力テストの結果を見て(あるいは自分自身で振り返って)、どの分野が苦手(嫌い)であるかを見出すことができれば、 それらを中心に復習すると効果的に実力アップが見込まれます。
…とはいえ、それを見出すのは必ずしも簡単といえるわけではありません。自分自身や親御さんで判断が難しいと思ったときは積極的に講師を頼ってみてください。 ただし、すぐに答えられる(結論が出る)ときと そうでないときがあるので、最近受けた実力テストや定期考査の問題などの資料があるとより詳しくアドバイスできるかもしれません。

次に感じたのが、親子で(特に学習する本人が)納得する1冊を探していたということです。
中高生という思春期の子どものことなので、参考書を買いに行こうと言っても「なんでもいい」「(探しに行くのが)面倒」などと言って親任せにする子も少なくないと思います。 ここはひとつ、学習関連の本を買うときは必ず本人と一緒に探してあげてください。
※もちろん、本人が1人で探して納得したものを 後日親御さんが買いに行く、というのはいいと思います。
いずれにせよ、学習する本人が「自分の目で見て」「納得して選んだ」ということが重要です。

本屋には(当然ながら)たくさんの本が並んでいて、大型書店なら学習関係の本だけで2列も3列もある、ということも少なくありません。 その中には単元に絞ったものや「○日間で完成!」といったダイジェスト版もあり、1冊1冊に(それらの本を求める学習者の)学習スタイルに合わせた特徴があります。
そして、たとえば英文法の「不定詞」という単元ひとつをとっても、いろんな会社がいろんな本を出しており、値段も分量も様々です。

親御さんが「あの子にはこの本が合いそう」と感じて購入しても、「説明(解説)が少なすぎる(あるいは多すぎる)から分かりにくい」 「この口調が嫌い(丁寧語のものもあれば、口語調のものもあります)」といった違いは、実際に目にしてみないと分からないものです。
他にも字のフォント(書体)、大きさ、レイアウト、色使い、冊子自体の大きさ、厚さ、…と挙げるとキリがないくらいですが、 それぞれの"好みの1冊"というのは なかなか繊細でよくわからないものです。
買ったあとに「(欲しかったのは)こんなものじゃない!」なんて言われたら、親御さんとしても たまったものではないと思います。 そのようなトラブルを避けるためにも(?)本人に選んでもらうことをおすすめします。

そして、本人に選んでもらう もうひとつの意義として、「自分で納得して選んだ」という事実と責任が(…というと堅苦しいですが)あります。
短い時間であっても自分で納得して選んだ1冊なので、「何とかして最後まで仕上げよう」という気持ち(愛着?)が出たり、 あるいは(あまりいい表現ではないですが)親御さんから「自分で選んで決めた」という根拠を以て叱ることもできるかと思います。
その意味でも、本人で選んでもらうことに対するデメリットは少ないと考えています。

そのうえで親御さんに1点お願いするとすれば、こういった学習関連の本だけは、親御さんが買っていただきたいです。 これは「私(親御さん)が買ったんだから きちんとやりなさい」という"叱る根拠"のためではなく、お子さんの"未来への投資"という考えです。
もっとも"叱る根拠"として買ってあげるとするならば(もしくは そのような叱り方をすると)、お子さんが「自分で買うから(勉強しなくても)何も口出しするな」と言うなど 本末転倒な結果になりかねません。

なお、「うちは経済的に買ってあげるのが難しい…」ということであれば、近くの古本屋に立ち寄ってみてください。 学習関連の本が充実しているところは少ない(小さな古本屋の場合、1冊もないことさえあります)ので 目当ての本が見当たらないことも多いですが、定価よりは1割〜8割くらい安く手に入ります。

…先の父娘も学参コーナーを離れるときに(複数冊選んでいたようで)、
父「本当にこれだけできるのか?」
娘「うん…頑張る!」
と、本人が納得して選んでいたようでした。