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第5回(2017年2月5日)

感謝、感謝。

今回は以前 講師を務めていた塾の生徒の話です(以下、Oさんとします)。
Oさんとの出会いは一昨年の塾の春期講習でした(当時Oさんは新中学2年)。
この塾はFCの教室が近くにもあり、Oさんが通う中学校からは 別の教室のほうが近かったですが、 わざわざ少し離れた教室に通うことになったそうです。
自分はOさんにとって初めてとなる授業を受け持ったので、アイスブレイクとして その(遠くの教室に通う)理由を尋ねてみると 「同じ中学校の人がいないところに行きたい」とのことでした。
確かに当時も今も、その中学校から自分がいた教室に通う子はOさん1人しかいませんでしたが、 なんとなく「ちょっと変わった子なのかな」という印象を受けました。

それから春期講習も終わり、1学期からは数学の授業を固定で担当することになります。
Oさんはどちらかというと気分屋で、その日・その瞬間の気分で 勉強に対するやる気が左右されることも多々ありました。

そんな彼女も3年生になり、自分も諸事情で塾講師としての職を退くことになりました。
最後の授業となった春期講習(つまりOさんが新中3生になるころ)では、「4月からの担当は違う人になるよ」とだけ伝えて その場をあとにしました。
…とはいえ、そのあとも"講師として"接することはなくとも かなりの頻度で塾に顔を出しており、自習しているOさんや ほかの塾生の勉強を見てあげたり ちょっとした話を聞いてあげたりしていました。

さて、いよいよOさんも受験が近づき、別の講師から とある私立高校の保育系の学科を専願受験することを聞きました。 確かOさんは小さい子どもが好きで 保育士になりたいと言っていたような…と考えながら、夢に向けて頑張ってほしいと願いつつ、 冬期講習中も何度か顔を出して Oさんの過去問を見ていました。

そして専願入試が終わり、合格発表の日が…。個人的に結果を聞いたのは その翌日で、(先述の講師から)Oさんが無事に合格した旨の報告がありました。


…ここまでであれば「おめでとう」とか「よかったね」で終わりです。しかし、Oさんはここからが違いました。

合格発表の日から1週間後、講師から「お手紙を預かっている」との連絡を受けました。
のちに分かったことですが、そのときOさんの授業はすでに終わって 卒塾していたのに、 わざわざ塾に出向いて「お世話になった講師のために」と手紙を書いて 持ってきてくれたそうです。
それも、最後まで授業を担当してくれた講師だけでなく、塾講師としての職を退いて 確実に会うこともできず、 手紙が届く可能性も分からなかったはずの 自分に対してまで書いてくれました。

以下の写真がその手紙の表紙部分です。

その"手紙"はルーズリーフに書かれた簡単なものですが、それも中学生らしいというか、 "手紙"という くくりでは計り知れないくらい 彼女の想いが伝わってくる1枚です。
差出人には"普通の凡人"なんて書いていますが、彼女が本当に"普通の凡人"だったとすれば、自分がこの手紙を受け取ることは なかったと思います。
これからOさんに会うことは一生ないかもしれませんが、高校生活を思いっきり楽しんで 立派な大人になって再会できたらうれしいなと思います。


最後に、おそらく本人に届くことはないと思いますが、Oさんに対するメッセージを残して締めくくりたいと思います。