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第1回(2020年3月10日)

今日の入試の暫定講評

新型コロナウイルスの蔓延にともなって 実施自体も心配されましたが、無事に日程の変更もなく学力検査が実施されました。 さて、ここでは来年度以降に受験(検)を控えている中学1・2年生に向けて、今日の入試の出題傾向と 次年度以降の対策について書いていきます。

なお、検査問題については 大手塾では入試当日に手に入れることができますが、それ以外の一般の人は翌日の朝刊が最速で、同夕方(17時ごろ)に福岡県庁のホームページで公表されます。 ただし、県庁ホームページは著作権の関係で、数学・英語以外の問題文については掲載が遅れることがあります(例年5月〜6月上旬までに順次公開されています)。
※現時点(10日19:00)では配点も不明のため、これも推測で記載しています

国語

近年の出題数・構成と ほぼ変わりありません。大問2・3の記述で30字程度・60字程度のものが1題ずつ出題されています。
年度によってもっと多く出題されることもあるので、普段から記述問題に慣れておくと良いと思います。

[大問1] 国語の特質(独立小問)
品詞や熟語の選択問題が出ていましたが、今年はそれがなくなった(もしくは記述になった?)ように思われます。難易度は例年通りと思います。

[大問2] 説明的文章(評論)
問4でアルファベットの答えになっているため、もしかすると新傾向の問題かもしれません。分量は分かりませんが、それなりに読みやすい文章ではないかと思います。

[大問3] 文学的文章(小説)
ここ数年は小説の出題が続いており、今年もそれに倣っていると思います。こちらも内容が読み取れませんが、最近の文章というより 少し昔のもののような気がします。

[大問4] 古典
古文か漢文のいずれかが出題されて、今年は古文が出題されました。これで3年連続 古文からの出題になるので、来年度は漢文になる可能性が高いと思われます。
中国の国名が出てくるので、歴史(世界史)が好きな生徒は読みやすかったかもしれません。

[大問5] 作文
解答が省略されているため まったく推測できませんが、おそらく例年通りだと思います。

数学

出題数は例年通りですが、出題形式は大きく変わりました。ここでいかに動揺せず取り組みあとの教科に引っ張らなかったのかが、入試の合否を大きく左右していたかもしれません。
全体の小問数が増えており、1問あたりの配点が下がっているように思われます。

[大問1] 小問集合
ここ10年弱続く9問構成です。
変化としては、これまでほぼ毎年出ていた2次方程式の計算問題が大問2の文章題として出題されて、代わりに等式変形を思わせる問題が出題され ました。これが本当に等式変形の問題だとすると、平成18年度以来14年ぶりの出題です。
また、昨年度に13年ぶりに出題された関数の作図は、今年も出題されました。この傾向は当面続くものと思われます。 さらに、同じく昨年度から大問2に独立した確率の問題は今年は大問3として出題されました。

[大問2] 方程式
文章題として2次方程式の問題が出題されるのは、平成23年度以来9年ぶりです。 当時と異なるのは、解答欄に途中の過程を記述するものではなく 式と答えを単独の小問で答えを導く形式になっていることです。
式をつくる問題も2パターン与えられているようで、どんな形で問われているのかが気になるところです。

[大問3] 確率
昨年度より大問1の小問集合から独立しています。今年はカードとコマを題材にしているようで、近年までなかった複雑な形式での問いとなっています。 しかしながら、問題文をきちんと読んで理解すれば 解答はそれほど難しくないと思います。

[大問4] 関数
携帯電話?の料金プランに関する問題です。おそらく1次関数(直線)のため これまでと同じような形式の問いだと思います。 (2)の解答欄が3個あるので 文章の穴埋めか表形式の問いになっているかと思います。
過去問をしっかりと演習していれば問題なさそうです。

[大問5] 平面図形
大問5で(4)の小問が出てくるのは少なくとも20年以上なく、おそらく配点は10〜12点となる見込みです。 証明は近年のトレンドである円周角を使った相似のもので、書くことは多いですが 難易度は例年通りだと思われます。

[大問6] 空間図形
(1)が記号問題なので おそらく「ねじれの位置」に関する問題です。近年出題の多かった面積比・体積比についての問題が出ませんでした。 図形の形は読み取れませんが、おそらく錐体だと思われます。

社会

出題傾向や出題数は ほぼ例年通りと思われます。特に地理と公民は資料が多いので、単純な知識問題だけでなく資料解釈の能力を問うものも多いです。

[大問1] 歴史(古代〜現代)
例年と変わらず記号問題が多いので内容はあまり把握できませんが、最近の話題になっている石油危機(オイルショック)を答えさせる問題が出題されました(おそらく たまたまです)。問5は記号と記述問題ですが、おそらく両解(どちらも正解で初めて得点)なので、あてずっぽうでは得点できません。

[大問2] 歴史(近代以降)
20世紀頭ごろからの内容の出題です。昨年度と同じく2〜3問の出題で、配点は6〜7点程度かと思われます。
単純な出来事の暗記ではなく そこから何が行われた/起きたなどの関連事項も頭に入れておく必要があります。 

[大問3] 世界地理
問題数が少なくなったように思われますが、例年通りであれば資料がたくさん提示されていると思います。
表やグラフも多いため、与えられた資料をしっかり読み取ることが重要です。

[大問4] 日本地理
農業や地形に関する問いが出題されました。記述問題で「火山灰」「地層」などが出てきており、理科の地学分野の知識があると より答えやすかったかもしれません。

[大問5] 公民
国会・選挙・税など、さまざまな範囲から問われています。また、最後の記述に「残業時間」の話も出てきており、近年の社会問題についても関心を持っておいたほうが良いでしょう。

[大問6] 総合
今年は記述が3問で、主に環境問題に関する出題でした。コンビニのレジ袋に始まるプラスチックごみに関する問題かと思います。

理科

社会と同様に、出題傾向や出題数は例年通りと思われます。記号問題は読み取れませんが、記述内容だけ見ると 教科書の基本的な内容に関する問いが多く、いかに普段の授業を大切に受けているのかが重要だと思います。

[大問1] 生物分野・植物のつくり
エタノールによる葉の脱色・葉緑体や維管束などを問う問題でした。 新型コロナウイルス(→消毒用エタノール)を意識したものではないと思いますが、いかに教科書の基本的な内容を抑えているかが問われた大問だと思います。

[大問2] 生物分野・ヒトのからだのつくり
感覚・神経に関する問題です。意識的に行う動作と反射的に行う動作について問うており、こちらも教科書レベルの内容を抑えていれば容易に答えられたと思います。

[大問3] 化学分野・銅の酸化
おそらく実験のようすを対話形式で出題したものだと思います。実験結果のグラフを用いながら用意した同に対してどれだけの酸素が化合したのか(もしくは酸化銅の質量)を問う問題が出題されています。
こちらも過去問で酸化銀の還元や炭酸水素ナトリウムの燃焼など、似たような問題がたくさん出ているので、これらをきちんと理解していれば それほど難しくありません。

[大問4] 化学分野・イオン
塩化ナトリウムの電気分解?もしくは化学電池のようなものが出題されているようです。
モデル図を書かせる問題もあり、これらを苦手とする人は かなり答えにくかったと思います。

[大問5] 地学分野・天気(フラスコ実験)
丸底フラスコを用いた雲の実験かと思われます。こちらも大問3のように 対話形式の問いになると思います。
学校で実験するような題材でもあるため、「楽しかった」で終わらせず そこで感じたことをしっかり考察して頭に入れておくことが大切です。

[大問6] 地学分野・天体
ほとんどの学校で3学年の最後に学習する単元のため、場合によっては最後まで学習できずに入試を受けた学校もあるかもしれません(よほど遅くなければ すでに終えていたと思いますが)。
天体の出題頻度は全体としても かなり多いので、まさに1〜2か月前に学ぶ内容がそのまま入試に直結します。

[大問7] 物理分野・光
凸レンズを用いた光の問題です。近年あまり出題されなかったので 対策をしていない受検生も少なくなかったかもしれません。
高校でも物理を学習する人は凹レンズの作図も出てくるので、入試だけを見据えるのではなく その先のことも考えて復習すると良いと思います。

[大問8] 物理分野・電力・熱量
水の熱伝導による温度上昇に関する出題でした。電気回路に関する出題は頻度として高いですが、比熱や熱量などを問う問題はそれほど多くないため、こちらもきちんと復習していない人が多かったと思います。
この大問は得意な人と苦手な人で大きく差が出たのではないかと思います。

英語

英語の出題構成なども ほぼ例年通りです。細かい問い方は若干変わっているかもしれませんが、全体的な難易度は平年通りではないかと思います。

[リスニングテスト]
2年前に5分間拡充されて 15分間の試験となりました。リスニングスクリプトがないのでどんな内容・どんな問題か全く読み取れませんが、過去問で練習していれば問題ないかと思います。

[大問1] 場面にふさわしい表現(対話小問)
例年通り4題構成で、短い対話の穴埋めをするもの…だと思います。
この大問は記号問題なので、もしかすると問いの内容が違う可能性もあります。(現に平成14年度〜19年度は)今と全く異なるものでした。とはいえ、それほど難しいものではないでしょう。

[大問2] 対話文
問2の出題内容が読み取れませんが、それ以外は昨年度とほぼ同じ形式です。対話の内容に関する問いが少ないようにも思えますが、難易度は平年通りかと思います。

[大問3] 長文
こちらも問いの形式は昨年度とほぼ同じです。問1の記述問題で文法や熟語を使う必要があり、(今年に限らず)答えが分かってもそれが表現できない というものがあるともったいないので しっかりと基礎単語・熟語を身に着けてもらいたいです。

[大問4] 英作文
今年も30語指定で、2つの意見から自分が考えるものを選んで答えるものでした。
解答例を見る限り、これまでと異なるのは 自分が選んだほうの意見についてではなく、他方の意見より自分が選んだ意見を強調する考えも答えさせるものになっています。これまで以上に作文しにくくなっていると思うので、やはり単語力と表現力を鍛えていく必要があります。